写真は大正中期の現・246号線。三宅坂から赤坂見附に向かう路面電車。現・全国町村会館付近から見ている。
時代を継ぐさくら
坂の上の桜林
HERITAGE SAKURA
Sakura grove on the hill
千代田区の西側、江戸城内堀、外堀に挟まれた番町・麹町地域へ下町から至るときは、九段坂や三宅坂などの坂を上らなければならなかった。江戸から明治へと変わるなかで、坂上の旧武家地には、「ソメイヨシノの群落=桜林」が明治という時代を象徴するかのように誕生し、多くの人たちの手で植え継がれ、現在も九段坂上の千鳥ヶ淵は都内有数の花見の場所になっている。
本シリーズでは、当時のめずらしい写真や図版を中心に紹介していくが、震災、戦災を乗り越え、多くの人たちの手で植え続けられたサクラを巡る地域の変遷を、司馬遼太郎著の『坂の上の雲』になぞらえて、坂の上の青い天に輝く「一朶の白い雲」でなく「一群のサクラ=桜林」を目指して追いかけてみたい。
小藤田正夫

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九段坂上の桜林

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関東大震災後の「復興サクラ」

